ペンタックス MS3-N MS-3nの赤道儀の使用方法の改良

MS3-Nは十数年前から製造されていましたが、いまはすでに製造されていません。中々、格好の良い器械です。しかし、使い勝手は良くないのです。
簡単に設定方法を変えてみると、簡単に組み立て、設定、使用できるようになります。

改良した点

1.三脚と架台とを常時、一体とする。
架台の三脚取り付け脚に、三脚取り付けボルトの下側に向かってネジを切って4ミリボルトをねじ込み三脚が外れないようにする。

鉛直線(錘を吊るす)方向に、赤外線水準器の鉛直線を投射して、上で合わせた2つの指標が重なるように極軸の水平の調整をする。
極軸体の水平が出たら、この状態で小さい水準器用の気泡管を極軸体に接着する。このアイデアはSEOさんの http://www.seo-e.co.jp/hobby.htm にあります。

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2.架台と赤道儀を分離する。
架台の下にある、赤道儀を取り付けているナットのイモネジを六角レンチで緩めて、赤道儀取り付けナットを外す。イモネジは緩めたままにしておく。

 4.鏡筒取り付け用の鏡筒バンドを外す。代わりに、ビクセン対応の汎用のアリ溝を取り付ける(富田製、)
 アリガタとプレートを介して、鏡筒を取り付ける。

マニュアルにあるような極軸の北極への調整手順を踏む。すなわち、赤経手動ノブを回して、微動範囲の中央に指標をセットします。次に、赤経クランプを緩めて極軸望遠鏡の月日目盛の秋分点(9月23日)を真上の指標に合わせる。

3.極軸の水平を決める水準器を極軸体に接着する。
赤道儀を水平に調整する。(三脚の下に、水平用の微動台を設置し、赤道儀付属の水準器で水平に調整する。)

← 一体化した架台と三脚。水準器は半分に切断して、極軸体に接着する前のモノ。

使用方法

1.三脚を開いて、立てる、北極方向に、水平調整用の突起(三脚取り付け部分にNマークが付いている。)を向ける。三角盤を取り付ける。(三角盤は改造できなかった。強度上、安全対策上必要な部品である。) 脚の長さは一番長くして良い。長さの調整は不要。

2.赤道儀を載せる。架台裏に固定ナットで軽く止める。ウエイト軸、必要なウエイトを取り付ける。必要な鏡筒バンド付きプレート、鏡筒などを積載する。

3.赤経手動ノブを回して、微動範囲の中央に指標をセットする。→

(以下はマニュアルのとおり)
5.赤経目盛環のネジを緩めて、目盛環の0hを極軸西側の経度補正目盛の0に合わせる。
経度補正に135度から西または、東は方向で、135度からの角度の補正(°)の回転をする。

6.極軸望遠鏡周りの月日目盛と、時間目盛を合わせる。

7.北極星パターンに北極星を合わせ、極軸の上下クランプ、水平回転ネジ、三脚ネジ、赤道儀取り付けネジなど閉めて、北極星位置のずれのないことを確認する。

使用結果 撮影画像  画像を見ると、焦点距離640mmで2分はノータッチで何とか使えることがわかります。
 画像撮影の成功率は50%位にはなるでしょう。上記の方法で機械の組み立てセットアップは5-10分くらいの時間でできます。

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4.極軸体用の水準器を水平にするようにクランプを緩め極軸を手動で回転する。クランプする。

2011年4月から、Pentax MS-3nのメインテナンスがリコーイメージングから東京機械製作所に移りました。
http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/news/announce/20110425.html
機種はMS-4Sですが、オーバーホールの様子は天文ガイド47(6)102pにも出ています。

数十年の古い機械で、オイルが固まって大幅に狂うようになったので、オーバーホールを依頼。ついでに極軸望遠鏡スケールパターンも交換してもらい、2030年まで対応となりました。南天にも対応しています。モーターはまだ未対応。

その他の重要事項:軸周りの積載物のバランスをとる。極軸と赤緯軸方向ともに、クランプなしでも止まり、また、前後方向への回転の力が均等になるように重量バランスが取れていないと、赤道儀駆動中にずれを生じて、きれいな撮像ができません。破壊的な改造ではありませんが、結果を保証するものではありません。

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