3 同心円を描いたガラス板を置いてあらゆる点を検査

接眼部に同心円を描いたガラス板を置いて、ピントノブを回転させる、ロックしてみる。接眼筒を回転させてみる。
カメラCCDにレーザーを当てて反射を見る。これには同心円板はいらない。
フィルターを回転させて、フィルターからの反射をみる。これには同心円板はいらない。
カメラアダプターに同心円を描いたガラス板を置いてみる。

4 CCDカメラの光軸

  高価なCCDカメラは光軸があっているのが当たり前だと思うが、望遠鏡と同じで実は合っていない。メーカーは光軸(配列)を合わせて出荷していると言っている。望遠鏡の光軸とカメラの光軸と一致して初めてその光学系の軸があったと言える。このような状態にならないとレンズの光学性能は発揮されず。ゆがんだ像を得ることになる。

 レーザーをCCDに照射して、点状の反射光の内、一番中心の点が、問題の調整すべきレーザー光の中心となり、反射光としてはレーザー発射位置に戻るように角度を調整する。その状態で、カメラの前面の望遠鏡への接続アダプター面(ガラス板を置く)と平行になっているかを見る。平行になっていないので、アダプターのテーパーリング接続部分の間に、アルミテープなど入れて傾きを調整する。細かい調節にはアルミテープやステンレス箔の厚みの微調整が必要である。










   調整台に乗せたCCDカメラ、ケーブルを          ↑ (これはだめです!!) フィルターの下に金属箔を
接続しシャッターとフィルターは操作できるようにする。         貼り付けて、アダプターからの
                                          反射光の戻り位置を調整する。
                                        この方法はフィルターwheelの側の固定ネジが2ヶ所のため
                                         固定ネジのない側が浮き上がり、傾きの調整が出来ない。





5 結果と考察

レーザーの反射光の戻り位置から計算すると、角度の数分から十数分と言う変移が見られることが多い、40mm対角線のフィルム面で最大0.25mmと言う値だ。これは光学系の許容誤差をはるかに超えたものであるから、光学系と器械との矛盾である。これが削り出しなどの工作精度ではなくして、機械部分の移動で、変移が拡大された結果である。


光軸調整のエラー、接眼筒の傾き、カメラの傾き等の誤差が反対方向に向かって、うまく打ち消しあったとき、カメラ軸が光軸と一致することになるのが私の現状である。それは稀なことだった。

接眼筒や、カメラの機構部分の改善があるまで、私は、光軸難民や、ピント難民のままであり、忍耐と熱意と細心の技術による天体撮像には到底かなわない。技術情報を提供しているジャーナリズムがメーカーのこのような、技術の矛盾に深く立ち入ることはない。スポンサーあってのジャーナリズムなのだろうか。ジャーナリズムの精神はどうなったか。

タカハシEpsilonの接眼筒について
 接眼筒はいわゆるdrawtubeで内筒がラック・ピニオンで移動するように作られている。120度ごとに、押えレールがあり、内筒を締め付けている。多分手作りで、うまく研磨して時間をかけて調整してあるだろう。この内筒が外筒に対して完全に向きが一定しているわけではない。しかし、頑丈に作られて、傾きは一定している。傾きの程度はさまざまと思われるが、良いものの完全な製品の歩留まりは低いのではないかと思う。一方、接眼体の外筒の方は本体の鏡筒側が、古いCanonカメラ(FDタイプ)のスピゴット・マウントの様な作りで、固定される。鏡筒の接続面は平坦に磨いてあり動きは滑らか。しかし内筒が、傾いているので、傾いたまま回転することになり、接眼筒の軸が回転してしまう。光軸合わせが出来ない原因である。コリメーターで見ると、接眼筒の台座に対して、傾き角度は7分x5分の楕円の軌跡になる。
 回転装置を外筒にしたから問題が起こっている。回転装置を付けないか、内筒に付ければ精度上の問題は解決するだろう。設計者がそのように対処しないと、製造技術者にも負担がかかるだろうし、我々ユーザーはもっと困っている。取説にも書いているように、社内では認識されているはずであるが、ユーザーには説明はされていない。

 主鏡中心と補正レンズを含も光軸がどこを通るように設計されているのだろうか。それを目指した光軸調整の指針はどうなのか。

CCDカメラの光軸について
 カメラのCCD傾きはわずかで、f=100mm,F4のカメラレンズを取り付けて撮影してもほとんど分からないが、子細に見ると、わずかにピント位置がずれているが、色収差のずれのため、画像左右の色彩(にじみの色違い)の違いとして表れる。f=500mm、F2.,8と言う光学系に取り付けると、100ミクロンの傾きは、周辺の星像に大きな乱れを生じる。
 傾きの調整位置はフィルターと、カメラの間に最初は設定したが、固定ネジが120度離れた2点で、3点目の固定ネジがなく、そちらが浮き上がる結果になり、補正量が正確に決まらず、補正する量が大きくなり、落下の危険が伴うと判断して中止した。
 
カメラと望遠鏡を接続するアダプターの間、テーパーリングの間にシム(フィラーゲージ)を挿入した。これで任意の傾きを作ることが出来る。3点で調整することにし、3か所にシムを挿入した。調整の大きさはレーザー光のテストとほぼ一致しているが、実写テストで調整した。四隅の星像はA2にプリントしてもほぼ問題のない程の画像になるように調整できる。この方法では前方にあるフィルターは光軸に対して傾いたままになるが、影響は明らかでない。CCDの傾きの大きさは右の写真に示した位置関係で、8時240μm、0時140μmだった。信じられないほどの大きな傾きである。カメラが落下しなければ良いがと思う。

 カメラのCCDの傾きをCCDから離れた位置で補正すると、補正位置からカメラは円弧を描いて移動したことになり、望遠鏡の光軸中心と、CCDの中心がずれてくる。最大でも1mm位であるが、周辺部の許容される良像範囲からわずかにずれるだろう。CCD面と光軸垂直面が一致していても周辺の像の乱れが起こることもありうるだろう。この状態ではまだ全体の光軸はあっているとは言えないのだ。これもユーザーに苦痛を追わせることだ。
 メーカーは違うが、ATIKのユーザーに対する回答では1/100mm(10μ)の精度を保証していると書いてあった。その程度の精度は欲しい。ユーザーに言われて直すという経営方針だと思うが、言わなければ、こんなに苦労していますと言う見本にあふれているあるいは、言っても直さないからだろう。短い焦点、F値の小さい望遠鏡の接眼部の精度もこのくらいにして欲しいものだ。それがなくして、回転装置付き等と言ってほしくない。

レーザー光によるCCDカメラの傾き調整
 CCD受光部にレーザー光を照射して、ピクセル構造の反射光の回折像を指標にしてCCDカメラの傾き調整を調整することが、多数ネット上で報告され、詳細な解説がなされたので、それを採用した。例えば、星の牧場2 また、 Starlight Xpress Ltd社からもmaintenance_infoのページに詳細が報告されていて参考になった。実際にはCCDカバーガラス、前面の保護ガラス、中心のピクセルからの反射の同定が難しいので星像で最終確認をした。
レーザーコリメーター
現在大部分の1mwレーザーコリメーターは製造輸入が禁止されている。これは重量があり、精密機械でおもちゃではない特殊な用途と思うが、一般用途の携帯武器になると役人が判断しているらしい。レーザーを当てて、色々検査してほしくないと言うのもあるのだろうか。工事に使うレーザー水準器で、小さなものでも禁止と言う事はない。コクヨのレーザーポインター1mWも製造販売されている。どうなっているのだろう。

星像の評価
 光軸の最終結果を評価するための画像、1枚の撮像で周辺画像の解像をピクセル100%等倍で評価して、均一であるように見えれば良さそうだが、カメラCCD、望遠鏡の光学要素の光軸、カメラ取り付けのたわみ、ガイド鏡の移動(撓み)、赤道儀架台取り付けの撓み、極軸の不正確など、いずれも広い視野の撮像に厳しく影響する。どれがどれか評価は難しい。

終わりに
以上悲観的に批判したが、この方法で撮像では、日本製一眼レフデジタルカメラでは光軸はあっていると判定された。冷却CCDカメラについては、カメラの取り付け時に傾きを調整することで、ほぼ問題のない画像を得ることが出来た。より良い画像のためにはさらに細かな調整が必要であり、労力を要する仕事である。プロの仕事を批判したが、これも間違っているかもしれないが、巷(他国でも)には何とかしてという声もあちこちで聞かれる。望遠鏡接眼部の精度の問題も、冷却CCDカメラの焦点面の傾斜精度の問題も、当方には予想外の事であり、全く困惑させられた。それらの点を考察し発明、技術投資で解決している写真家の方たちの努力に全く感心する次第だ。(2015/2/22追加)

Newton 反射望遠鏡の光軸合わせと冷却CCD焦点面の傾斜補正

センタリングアイピースと十字線鏡筒、レーザーコリメーター、レーザーポインターなどで鏡筒軸からカメラ軸まで光学的配置を調整するのが光軸合わせである。

1 望遠鏡の取説にある光軸合わせ

望遠鏡の取説にある光軸合わせを行う前提は、接眼筒は正確に鏡筒軸に垂直に位置し、接眼筒を回転させても軸の変異がないことである。だが、取説には、接眼筒を回転させて変異があるときは、視野の中で回転する十字線が、鏡筒マークを中心として回転するように位置合わせをするようにと書いてある。こうすると、確かに軸の中心は斜鏡マークと一致する。だが、鏡筒は回転軸に対して傾いたままであることには変わらない。これでは、主鏡の位置も回転したままになる。回転装置付きの接眼筒は接眼筒が斜めになったまま回転するという問題がある。

一旦終わって、接眼レンズや、カメラを取り付けてもこれがまた、傾いたまま取り付けられてしまって、光軸はいつまでたっても合わない。光軸合わせをマスターしようと取説にあるのだが、取説を見てはマスターできないのではないか。

接眼筒の回転部の基部、台の部分を基準として合わせるには、修正装置付きの接眼鏡筒(下図)*を回しながら向きを補正して垂直位置を出すことが出来る。この位置で光軸を合わせることは可能である。しかし、この修正装置付き接眼鏡筒をはずしてしまって、普通の眼視鏡筒やカメラ鏡筒を取り付ければこれらは傾いたままになる。これは光軸は合っていない。
*この接眼補正鏡筒を考案し製作された方々に敬意を表し感謝をします。このように回転させて、接眼筒の軸と回転軸を一致させる。

接眼部回転装置を使わない方法
接眼鏡筒鏡筒基部から回転させるのをやめて、回転装置として使用しないのならば、補正鏡筒の2インチ接続部分を回転させて、それより上部のアイピースアダプターの向きを回転中心と一致させ、これを軸に光軸を合わせることが出来る。以後も、回転装置は固定したままである。

レーザ光軸調整  図説

センタリングアイピースによる光軸調整のリンク

反射用ガラス板の作成

カメラマウント中心部へのレーザー照射
Above figure. The glass plate was centered on the drowtube on the geometrical center and fixed on the drawtube.Laser head are placed 1 m from telescope drowtube. Position of laser's faceplate was ajusuted by using photographic Head for telescope tripods (holizontal and vertical movement) mounted on the vertical and horizontal sliding Rods

Secondary mirror was adjusted aligned until laser beam hit on the center of the primary mirror.
Glass plate was removed from focuser drawtube and primary mirror was adjusted until the reflected laser beam retured on the center of the laser' faceplate..

Collimation of Newtonian reflector telescope with laser beam

Laser beam reflects perpendicular to the glass surface. The laser beam is alinged by centering the returned beam from the glass plate on the laser's faceplate.The laser's faceplate was made by a white card bord with center pinhole. The glass plate has concentric cicles as shown in the Figure bellow. The glass plate was centered on the drowtube on the geometrical center and fixed on the drawtube.Laser head are placed 1 m from telescope drowtube. Position of laser's faceplate was ajusuted by using photographic Geared Head for telescope tripods (holizontal and vertical movement) mounted on the vertical and horizontal sliding Rods.

⇐  接眼補正鏡筒 (光軸修正治具)をタカハシε鏡筒の補正レンズを除去して取り付けた。

ε鏡筒の接眼筒は内筒が外筒に対して傾いているが、頑丈で安定している。回転装置として使うと光軸がずれる。
コリメーターで見ると、接眼筒の台座に対して、傾き角度をXY座標に取るとは7分x5分の楕円の軌跡になる。主鏡中心部へ向かう光軸の誤差は、主鏡中心が0.7mm位ずれたことになる。

 補正レンズ系も台座に対して上記のずれ角度に相当して、傾いた状態になる。
 接眼筒を回転させて探すと、台座とほぼ同じ向きになる点があった。ここで、固定する事にしよう。そうすると補正レンズもまっとうな方向を向くのではないか。

 補正レンズが光軸と一致することを前提として、設計したものだろう。

↑ カメラマウントを取り外し、下の接眼部にアダプターを介してガラス板を固定した。中心にレーザーが照射され、主鏡からの反射が同じ所に戻っている。
Glass plate on the drawtube, corrector lens was removed. From center hole the laser beam entered to the main mirror and reflected to the center of the glass plate.

  下 シムを挿入する位置がわかるようにCCDに対して一定となる位置表示をするために、時計周りではないが、24分割の標識をフィルターに固定してある。フィルターの位置は、CCDカメラに対して向きが一定となるように取り付ける。ここでは、0、8、16(時)の位置で調整した。

 カメラと望遠鏡を接続するアダプターの間、テーパーリングの間にシムを挿入したところです。これで任意の傾きを作ることが出来ます。
 固定ネジはボールプランジャーに変えてある。

3 レーザーコリメーターの光束の収束
レーザーの光束は意外に広がりがあり、楕円の光束のモノもある。反射光の広がりがあるために中心位置が分かりにくい。十字にマークを入れても良いが、光束を収束するには、身近なものでは単眼鏡の接眼部から対物レンズに向けてレーザー光を通し、焦点を調節すると任意の広がりのレーザー光束を得ることが出来る。広がりがある場合は、主鏡マークを手元に反射させて帰すことが出来る。光束を絞れば反射光の位置の決定精度が上昇する。

 下の図、塩ビパイプと紙筒を使って単眼鏡を接続した。

方法

 上下左右微動(エレベーター三脚と接写用微動装置)と角度の上下左右微動(微動経緯台)を備えて設置したレーザーコリメーター(光源)を用意する。

カメラ取り付け面に同心円を描いたガラス盤を中心を合わせて装着する。(カメラ接続リングのカメラマウントをはずしてねじ込み部分にガラス盤を両面テープで張り付け、裏側に中心に穴をあけた同心円標識(トレーシングペーパーに印刷)を貼り付ける。

この中心部に約95cmの距離からレーザー光を照射し、照射口にレーザー光が戻ってくるようにする。この段階の精度が以下が有効かどうかを決定する。

この状態では補正レンズが付いているので、一旦、同心円標識ガラス盤と補正レンズを取り外し、接眼筒に別の、同心円ガラス盤をねじ込む(Epsilon180の場合は、68mmネジ)ガラス盤はあらかじめ中心を決めておく、同様に中心部に小穴を開けておく。

観察と調整

操作に間違いがないなら、レーザー光は中心部を通り、レーザー線源部に反射し、主鏡側では、コリメーションが正しければ主鏡の中心にレーザー光が照射される。その反射光もガラス盤に戻っていることが確認される(主鏡中心に反射を妨害するマークがない事)。レーザー光の微妙な位置調整で反射光に位置が変わり、精度に影響がある。センタリングチューブやアイピースによるセンタリングと同様な精度の様に見える。

コクヨなどのレーザーポインターでも使える。小穴を通すので収束していなくても大丈夫のはずだ。保護メガネは使用しよう。

接眼部から、なるべく離してコリメーター~照射する(95cm)。レーザーコリメーター照射部にガラス板から反射して戻っている所。

裏側に同心円を描いたトレーシングパーパーを貼り付けたガラス板。左は同心円とカメラアダプター補正レンズ、右は鏡筒68mm部分、2mmビスでガラス板を固定、同心円調整、位置の精度は重要である。トレーシングペーパーの中心にレーザーを通す穴があいている。(ガラス板は反射光を見るためにそのまま。)The glass plate was centered on the drawtube on the geometrical center and fixed on the drawtube

2 レーザーコリメーター
レーザーコリメーターは接眼筒に接眼レンズの様に装着して、レーザー光を対物レンズに言わば、逆方向から光を通して、接眼筒に沿って一直線に配置するための道具である。この道具の信頼性は、接眼筒の中心を通り、接眼筒に平行に走っていることに尽きる。接眼筒との接触面は数cmしかなく、わずかな狂いで、結果に大きく影響し、信頼性は高くないと見られているので、レーザーコリメーターは補助的な参考程度な役割とみなされている。
 光は垂直方向から平面に当たると、同じ方向に正確に反射して戻ってくる。したがって、反射点と、反射面の垂直性の検出にはきわめて有効である。この原理は、光を利用した検査、コリメータースコープに応用されている。同じことをレーザーを使って簡易に行う事が出来る。
 まず検査すべき接眼筒のカメラ取り付け面は、カメラ接眼筒に垂直であるとする。これが前提条件であるが、工作精度の上からカメラ取り付け面を基準として工作物が作成されていると考えて良い。カメラ回転装置や接眼筒の回転装置は無視して、回転させないことにする。現在の望遠鏡のピントの合焦装置は動かすと必ず変移し、傾きが変わってくるからである。(そのことは以下のテストを適応すると明らかになる。)

ガラス板中心部を通ったレーザー光は主鏡マーク中心を照射している。        →
Secondary mirror was adjusted aligned until laser beam hit on the center of the primary mirror.

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